2026/07/14
琉球ガラス特集|歴史・特徴・色の意味と選び方、現代の名工の作品
琉球ガラスのグラスには、細かな泡が入っているものがあります。この泡は、もとは避けたい欠点でした。それを見どころとして残すようになったのが、いまの琉球ガラスです。ここでは歴史や作り方、色の選び方をまとめました。気になった作品は、公式オンラインショップから全国へお届けできます。

国際通り沿い・キッドハウス2階の琉球ガラスギャラリー
琉球ガラスとは
琉球ガラスは、沖縄本島を中心に作られる吹きガラスの工芸品です。沖縄ガラスとも呼ばれます。厚みのある手ざわり、泡、多彩な色が特徴で、手作りのため同じ型でも一つずつ表情が違います。
1998年(平成10年)に沖縄県の伝統工芸製品に指定されました。江戸切子や三線のような国(経済産業大臣)指定の伝統的工芸品ではありません。歴史が比較的浅く、独自の作り方で広まってきた工芸です。
断絶と再生の歴史
米軍の廃瓶から生まれた、というのは本当か
琉球ガラスは、戦後に米軍の廃瓶を溶かして生まれたと語られます。ただ、沖縄でのガラス作り自体は明治の中ごろ、およそ100年前まで遡ります。当時は主に瓶やランプ用のガラスが作られていました。
大きな断絶は戦争でした。1944年の10・10空襲で那覇の市街は焼け、工房も資源も失われます。戦後、物資が乏しいなかで職人は、米軍が残したジュースや酒の瓶を溶かして、ふたたびガラスを作り始めました。瓶の色がそのまま作品の色になり、独特の風合いが生まれます。
その後、1975年の沖縄海洋博覧会をきっかけに土産物として広まり、着色の技術が進んで色の種類も増えました。断絶と再生を重ねてきた歩みが、いまの多彩な琉球ガラスにつながっています。
「気泡」の見どころ
欠点だった泡を、見どころに
気泡は、もとはガラス作りで避けたい失敗でした。再生ガラスは瓶のラベルなどが混じって泡が入りやすく、職人はこれを消そうとしてきました。その泡に美しさを見て、残す道を選んだのが琉球ガラスです。いまでは、あえて泡を入れて景色を描く作品も多くあります。その代表が、泡ガラスの稲嶺盛吉さんの仕事です。
どうやって作られるか
成形には大きく2つの方法があります。
- 宙吹き(ちゅうぶき)法:溶けたガラスを竿の先に巻き取り、息を吹き込んで形を作る。手の感覚で仕上げるため、一点物に向く。
- 型吹き(かたぶき)法:溶けたガラスを金属や木、石の型に入れて息を吹く。同じ形を作りやすい。
色を調合し、溶かし、形を作り、時間をかけて冷まし、検品する。急に冷えると割れるため、冷ます工程には一晩かけます。一つの作品に複数の職人が関わることもあります。いまは瓶を溶かす再生ガラスに加えて、新しいガラスと着色剤で作る方法も広まっています。
色で選ぶ
琉球ガラスの色は、沖縄の自然と結びつけてイメージされることが多くあります。贈り物の色選びの参考にしてください(色の意味は諸説あり、一般的なイメージです)。

海や空を映した、色とりどりの琉球ガラス
| 色 | イメージ | こんなシーンに |
|---|---|---|
| 青・水色 | 海や空。涼やかで清らか(琉球ガラスの代表色) | 夏の食卓、爽やかな贈り物 |
| 赤・オレンジ | 沖縄の太陽、朝夕の空。華やかで温かい | お祝い、明るく気持ちを伝える贈り物 |
| 黄色 | 明るく前向き | 食卓に陽気さを添えたいとき |
| 緑 | 大地や植物。穏やかで落ち着く | 毎日の普段づかい |
| 透明(クリア) | シンプルで使いやすい。料理や飲み物を引き立てる | 定番。どんなシーンにも |
現代の名工3人と、その全作品
現代の名工は、卓越した技術者に厚生労働大臣が贈る表彰です。国際通り沿いのキッドハウスでは、琉球ガラスで名工に選ばれた3人の作品を扱っています。ここから、3人それぞれの歩みと、いま手に入るすべての作品をご覧ください。

ギャラリーには、名工たちの器が一堂に並ぶ
稲嶺盛吉|泡ガラスの父
泡ガラスの父と呼ばれる稲嶺盛吉さんは、1940年に那覇市で生まれ、1988年に宙吹きガラス工房「虹」を構えました。再生ガラスに入る細かな泡を、欠点ではなく見どころとして残す——その一点で、琉球ガラスの表現を大きく広げた人です。1994年には、沖縄のガラス吹き職人として初めて現代の名工に選ばれました。
2023年に亡くなり、いま並ぶのは生前に作られた作品だけです。工房「虹」の泡ガラスは、長男の盛一郎さんが受け継いでいます。カレー泡やアイスカットなど、光で表情が変わる仕事をご覧ください。

泡や色が流れる、手仕事ならではの表情
稲嶺盛吉の作品(全5点)
池宮城善郎|光を操る
池宮城善郎さんは、1958年にうるま市で生まれ、恩納村の「琉球ガラス煌工房」を主宰しています。2014年、稲嶺さんに続いて2人目の現代の名工に選ばれました。ガラスの内側に光が宿るラスター技法を独自に磨き、金彩の作品でも知られます。沖縄県の伝統工芸士であり、県内最大の美術展「沖展」の審査員も務めています。
色を重ねて光を通し、器に絵のような奥行きを出す——ここでは、青の景色を写した2点をご紹介します。
池宮城善郎の作品(全2点)
松田英吉|恩納村の海「海の洞窟」
松田英吉さんは、恩納村に生まれ育ち、2000年に独立して自身の工房「匠工房」を開きました。恩納村の海や空、寄せて返す波を思わせる色づかいと、計算された泡模様が持ち味です。2025年度の現代の名工に選ばれました。
海底から立ち上る泡を写した「海の洞窟」シリーズが代表作です。注ぐと青からエメラルドグリーンへ移り変わる一品もあります。
松田英吉の作品(全3点)
選び方・お手入れの注意
耐熱・強化ガラスではありません
琉球ガラスは基本的に耐熱・強化ガラスではありません。熱湯や食洗機、電子レンジのご使用はお控えください。手洗いでやさしく扱っていただくと、長く使えます。
- 一点物として選ぶ:同じ技法でも色や泡の出方は一つずつ違う。世界に一つを選べる。
- 贈り物に:結婚や新築の祝い、誕生日、旅の記念に。色のイメージで相手を思い浮かべて選ぶのもよい。
- 作家もので選ぶ:現代の名工の作品は数が限られる。気に入った一品は早めに。
まとめ
避けたい欠点だった泡を、見どころに変える。琉球ガラスは、断絶と再生を経てきた工芸です。青い海、夕日、寄せる波。作り手がそれぞれ沖縄の自然を器に写し、一つずつ違う作品を作っています。
現地で見て気になった一品も、旅の帰りに。このサイトからそのまま全国へお取り寄せできます。
※価格・在庫は変わることがあります。送料や送料無料の条件など最新情報はご利用ガイドをご確認ください(全国880円〜、10,000円以上のお買い上げで送料無料)。
作品が並ぶお店
キッドハウス(琉球稲嶺泡ガラスギャラリー)
- 場所
- 沖縄県那覇市久茂地3丁目・国際通り沿い(キッドハウス2階ギャラリー)
- 取扱
- 稲嶺盛吉/池宮城善郎/松田英吉ほか、現代の名工の琉球ガラス
※店舗の詳細はキッドハウスの特集ページをご覧ください。営業時間等は変わることがあります。









